アキバでVRを体験しよう!Unity VR EXPO AKIBA参加レポート

Date
2016.08.05
Category
技術
Written by
katotyan
Unity VR EXPO AKIBA参加レポート

はじめに

時、2016年7月17日。
場所、秋葉原UDX内のイベントスペースであるアキバ・スクエア。
Unity VR EXPO AKIBA」に参加するために一人秋葉原へと赴きました。
※公式サイトはこちら

最近流行りのVR技術に触れたい学びたい作りたい(あわよくばそれで儲けたい)。
そんなモチベーションの元、UnityもVRもまだまだ初心者の私ですが突入してきました。
今回は本展示会に出展されたVRコンテンツの体験レポートです。

入場

天気はあいにくの曇り空ですが、これから潜るのはVR空間。天候とは無縁です。

Unity VR EXPO AKIBA参加レポート

12時頃に入場。すでに会場は多数の人で溢れかえっており、その熱気を直接肌で感じました。
周囲を見渡すと「最新技術にバリバリ興味あります!」といった風貌でガジェットに身を包んだ男性もいれば、VRコンテンツをカジュアルに楽しみに来たといった感じの若いカップルも。
様々な層に対してVRという新しいモノが興味の対象となっていることを確認できました。

ブース数は全部で40。基本的に一回につき一人だけしか体験できないというVRコンテンツの性質上、どうしても待ち時間が長くなりがちです。
半日フルで参加したとして、体験できるのは15から20くらいが限界かと。
私も10個ほど体験してきましたが、今回はその中で特に気になったブースを5つに絞って紹介します。

DOPAMINE(Synamon)

GearVRを用いた2人対戦の三人称視点シューティングゲーム。
懐かしのバーチャロンスティックを用いて宇宙空間を高速で移動するユニティちゃんを操作し、周囲のオブジェクトを破壊してスコアを競います。
もちろん対戦相手のキャラクターを攻撃することで妨害もできます。

2つのGearVRを同期制御させてのリアルタイム対戦ゲームを一体どのように実現しているのか、気になるところです。

Unity VR EXPO AKIBA参加レポート

VRらしさを強調した点として、ヘッドトラッキングにより画面を映すカメラが向きを変え、画面中央にとらえたオブジェクトをロックオンする機能が挙げられます。
複数のオブジェクトをロックオンした状態で放つホーミングミサイルは爽快。

Unity VR EXPO AKIBA参加レポート

試遊後、スタッフに「これは難しいですね」と尋ねたところ「一度で終わるゲームではありませんから」と気合のこもった返答が。
VRゲームを作ることを考えると真っ先に「VRらしさ」に重点を置いた体感型ゲームをと発想してしまいがちです。しかし、本作のように従来のよく見知った「ゲーム」にVRゴーグルをプラスすることで、また違った面白さを生み出すという方向性も考察の余地が有ると感じました。

スマホをVRに持ち込んでみた(スマホ持ち込み@光輝)

我々人類はまだしばらくはスマホを手放すことができなそうです。

Unity VR EXPO AKIBA参加レポート

Oculus Riftを装着し、VR空間に浮かぶスマートフォンを操作して踊るユニティちゃんの写真を撮影してツイッターに投稿しようというデモンストレーション。
実際にPCにスマートフォンを接続し、現実のスマートフォンの画面をVR空間内のスマートフォンへとミラーリングしています。
なるほどこんなこともUnityでできるのかと思わず感心しました。

VR内のスマートフォンは縦持ち/横持ちの切り替えもでき、実際にGoogle Playを開くこともできました。
残念ながら文字入力に難有りでツイッターへの投稿はまだできないとのことですが、SNS中毒者としては今後全てのVRコンテンツにこのスマホ持ち込み機能を実装して欲しいくらいです。

VRペイントステージ(ソイ・ソフトウェア)

HTC Viveを用いて、3DのVR空間上で絵を描いたり立体物を作ったりできるペイントソフト。
このブースではデモンストレーションとして、真っ白なキューブをキャンパスに見立てて絵を描くペイント、魚やキャラクターを象った3Dモデルへの着色、そして何もない空中に粘土のような塊を出力することによる立体物の作成を体験しました。

Unity VR EXPO AKIBA参加レポート

写真は私が作った謎のタコ状立体物です。その場をくるくる回ったり、背伸びをして限界まで塊を縦へと伸ばしたり、試行錯誤した様子がこの作品から想像できますでしょうか?
できませんね本当にありがとうございます。

VRペイントソフトといえば『Tilt Brush』(https://www.tiltbrush.com/)のデモ動画を視たことがありますが、私はVRでのペイント体験はこれが初めてです。
あるツールを用いて「何かを作る」という体験は、そのツールに対する発見と理解を促進します。私が幼少の頃に初めてパソコンに触れた時もペイントでマウスの使い方を覚えたことを思い出します。
それはVRでも同様で、VR体験に慣れていない段階ではこの手のペイント系ツールがVRの本当の凄さを直感的に理解するための近道であると、このコンテンツを体験して強く思いました。
そのため、Googleが『Tilt Brush』をすぐに買収したことも頷けます。VRのチュートリアルとして優れたペイントツールを手にすることで、GoogleをVR体験の入り口としたいという狙いがあったのでしょう。

余談ですが、後述するUnity VR EXPOアワードで私はこの『VRペイントステージ』に投票しました。

インチキ霊能者を探せ(takusou)

Unity VR EXPO AKIBA参加レポート

個人的にベストアイデア賞を送りたいコンテンツです。

VRコンテンツとしては、暗闇の廊下を懐中電灯による心もとない明かりで照らしながら進んでいくというホラー映像モノで、それを複数人でヘッドセットを回しながら順番に見ていきます。
しかし、一人だけ映像が差し替えられていて、画面にはカンペが表示されてそれに従い驚いたフリをするのです。
全員がコンテンツを見終わった後で、さあいったい誰が驚いたフリをしていたのでしょうかと、VRコンテンツを体験している時のリアクションをヒントに当てるというゲームになります。

VRコンテンツの弱点である「VRデバイスを装着した人しか楽しめない」という性質を逆手に取り、それをパーティーゲームに転化することに成功している点がアイデアとして優れています。
加えて、VRコンテンツを楽しんでいる人そのものが面白いという発見もありました。
ヘッドセットを付けていない私には見えないナニかを、目の前の人は見ている……それってまさに霊能力みたいじゃないですか。

VRコンテンツをそのままゲームの形で提供するのではなく、VR体験自体に何かルールを設けることでゲーム化してしまう。まさに発想の勝利だと思いました。

VRインターン(面白法人カヤック)

参考動画

HTC Viveを用いたガンシューティングゲーム。
カヤックのオフィスを再現したVR空間上で、インターンとしてやってきたプレイヤーはいつまでも残業している社員を武器で攻撃して家に帰らせるという設定です。
遊び心と悪ふざけの利いた設定がいかにもカヤックらしい。

武器には銃、グローブ、スリングショットなど、両手にそれぞれ装着するViveコントローラーの特性を活かしたもの。
オフィスを舞台に暴れまわってストレス解消というコンセプトに、思わずスマホゲームの「Smash the Office」を連想しました。
火球を放つ強力なスリングショットで撃つべし! 撃つべし!

移動はSteamの「The Lab」と同様、移動したい地点へとポインタを合わせ、そこに一瞬でワープする形式。
このタイプの移動方法はVR酔い対策の有効な手段であるとして多くのゲームで採用されています。

VR体験としては……正直、1時間半以上並んだ割には、体験時間が約5分間と短いこともあり、不満もなくはなく。
様々な武器の使用方法をなんとか覚えたころには終了時間間近で、不完全燃焼感は否めませんでした。

ところで、このブースではグリーンバックを背景に遊ぶプレイヤーを実際に撮影し、VR空間とリアルタイムで合成するMR(Mixed Reality・複合現実)映像を流しており、待機列に並ぶ人々の目を楽しませていました。

Unity VR EXPO AKIBA参加レポート

このMR映像について、現場にいらっしゃったスタッフの方に軽く伺ったところ、これがHTC Viveの特性を活かしたもので興味深かったので紹介します。

まず、HTC Viveのトラッキング技術に関して簡単な解説から。
HTC Viveはベースステーションと呼ばれる2つの装置から発信されるレーザーをヘッドセットやコントローラーといったデバイスが受け取り、デバイス側で位置や向き、角度などを演算してPC側へと返す方式を採用しています。
従ってPC側は各デバイスの位置情報をダイレクトに受け取るだけなので計算負荷を軽くすることができます。

これは原理的にはGPSとよく似ています。
GPS衛星は電波を発信するだけで各々のGPS受信機の位置情報を演算しているわけではありません。複数の衛星からの電波を受信した受信機側が、その受信までにかかった時間を元に演算することで現在位置を割り出しているのです。
この例に当てはめれば、ベースステーションはGPS衛星、ヘッドセットやコントローラーといったデバイスは受信機ということになります。

位置情報の処理をデバイスごとに分散して演算するため、HTC ViveではひとつのVR空間上に大量のVRデバイスを「持ち込む」ことができるのです。
これはデバイスが発する赤外線LEDをトラッキングカメラで映像的にとらえ、PC側に集約して演算を行うOculus Riftとの大きな違いです。

ここで『VRインターン』のMR映像に話を戻しますと、プレイヤーを撮影するカメラの上にはHTC Viveの3つ目のコントローラーが装着されています。
従って、プレイヤーが装着するヘッドセットと2つのコントローラー、そしてカメラの計4つのデバイスの位置情報を取得できることになります。
これによりVR空間上におけるプレイヤーとカメラの位置が特定でき、実際のプレイヤーとVR空間の映像をリアルタイムで自然に合成することができるということでした。

正直、このお話の方がゲームよりも体験としてはエキサイティングでしたね。

余談ですが、このブースではヘッドセットの下にいわゆるニンジャマスクを着用してVR体験を行いました。
しかし、この手の激しい動作を要求するタイプのコンテンツだとしっかりとヘッドセットを装着しないとマスクがずれてしまいます。

私も最後一分ほどというタイミングでマスクがずれ、右目と接触した状態になりました。しかし一時間半以上待たされたからには途中でストップもかけにくく、そのまま最後までプレイした結果、その後数時間ほど右目が激痛に襲われる羽目に。

ニンジャマスク自体は潔癖な日本人らしい素晴らしいアイデアですがそういうデメリットもあります。ニンジャマスクがずれた際はすぐにVR体験を中断し、マスクを外すことを奨めます。

おわりに

来場者の投票で人気のブースを決める「Unity VR EXPOアワード」の授賞式まで会場に残りました。
このアワードは2つの部門に分かれています。投票数の多さを競う「プレイヤーチョイスアワード」と、投票数を体験者数で割ることで満足度を測る「グッドコンテンツアワード」です。
ちなみに私は両アワードでベスト5に選ばれたコンテンツを一つとして体験できませんでした。残念。

「グッドコンテンツアワード」を受賞した『CIRCLE of SAVIORS』の代表者受賞コメントでVR開発に注力し始めたのは2014年からと述べられており、まだまだ作り手として新規参入しやすいタイミングであると感じました。

Unity VR EXPO AKIBA参加レポート

授賞式後、私はVRコンテンツへの創作意欲と右目の激痛を持ち帰り、家路についたのであった……。