Japan VR Summit参加レポート【その④】

Date
2016.08.01
Category
技術
Written by
porksaute
Japan VR Summit参加レポート

Japan VR Summit参加レポートその①はこちら
Japan VR Summit参加レポートその②はこちら
Japan VR Summit参加レポートその③はこちら

Session5 「投資家から見たVR戦略」

Moderator
國光 宏尚 氏(gumi)
Panelists
青柳 直樹 氏(グリー)
山上 愼太郎 氏(株式会社コロプラネクスト)
Amitt Mahajan 氏(Presence Capital)

Japan VR Summit参加レポート

このセッションでは、生々しいお金、ビジネスの話をしようと思いますとモデレーターの國光氏が切り出し、セッションがスタートした。

自己紹介

國光氏は、AR/VRの分野にいち早く参入し社内でVRコンテンツの開発を行っていること、50万ドル規模のベンチャーVRファンドをアメリカで立ち上げていて、シリコンバレーをベースに様々な国の企業に目を向けていること、日本ではVRのスタートアップの支援などと、幅広くVRに携わっていると話していた。

グリーの青柳氏は、2015年に東京ゲームショウでVRゲーム(サラと毒蛇の王冠)を出展した際の反響が大きかったことから、VRに本格的に参入することを決め、2015年11月に「GREE VR Studio」を設立し、2016年4月にVRファンド「GVRFund」を設立した。
そしてセミナー当日の2016年5月10日にフジテレビとの業務提携を発表した。
現在はシリコンバレーをベースに投資をしているが、VRが本当に来るまで耐えられる会社かどうかを見極めるのが困難、投資は難しいとした上で、競合が少ないという点からして先行して投資するのは良い時期だと説明した。

コロプラネクストの山上氏は、コロプラ本社の方針としてコンテンツ作りや360°動画は自社でできるが、それ以外の部分は手が出せないので、投資という形でVR市場すべての成長に関わっていきたいと話した。(コロプラ馬場社長の紹介とほぼ一緒)
ファンドの立ち上げについて、世界初を狙っていたが同じ登壇者のAmitt氏に一週間先を越されたてしまったとの事。
ただ、60億円規模のファンドは世界最大だとしていた。

VR事業ファンドPresence CapitalのAmitt氏は、VR市場について課題とチャンスの両方があるとした。
課題としては発展途上であること、コンテンツ不足であることをあげ、逆にコンテンツを作ることがチャンスに繋がるとしていた。
また、完璧なタイミングで投資に踏み切ることができたと説明し、VR市場が成長することに対し自信を見せていた。

VR/AR/MRの現状について

facebookがOculusを買収したことから始まり、Sony、HTC、Google、サムスン、Microsoft、Tencentなどなど、世界中の大企業が参入している。
アメリカではVR/ARの分野の未来について、「The Third Wave(第三の波)」と表現しているとした。将来的にはスマホが不要になるんじゃない?とも言われているらしい。

第一の波:PCを使ってインターネット
第二の波:モバイルを使ってインターネット
第三の波:VR/ARを使ったシームレスなインターネット

そしてこの第三の波はARとVRを複合化したMR(Mixed Realty)とも言われ、MRの分野に力を入れているMagicLeapというアメリカの会社(フロリダ拠点)は、まだコンテンツもリリースされず、テクノロジーも秘密にしたままの状態にも関わらず、時価総額5000億円を達成している。
Googleやアリババなど最大手がこぞって出資しているとのこと。

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図. MagicLeapが公開したデモ
MagicLeap の公式サイトはこちら:https://www.magicleap.com/#/home

ARの現状は、VRと比較してどうなのか?という質問に対し、以下の意見が挙げられた。
・Amitt氏
企業向けコンテンツでは1年半、消費者向けコンテンツでは3年から5年かかると思っている。

・山上氏
コロプラでは、ARと聞いたら詐欺と思え!と言われている。
ポテンシャルはあると思うし、将来的には来ると思っているが、Amittが言うよりかなり先の話になると思っている。
ただ、MagicLeapの動きは確かに気になるので、ファンドで分散投資していきたいと思っている。

・青柳氏
ARとVRの優劣ではなく、それぞれの良さを生かして市場を確立できたらいい。
ただ、VRの方がエコシステムが出来てきていて、スタートアップ企業もARよりVRの方が多く、かなり先を行っている為、確実に来ると言えるのはVRの方。それでも2~3年はかかるとみている。ただし、MagicLeapは別。

・國光氏
今年はVR元年と言われているが、AR元年は3年後くらい、MR元年は更に3年後くらい。VRの技術はAR・MRに転用できる部分が多いので、VRを初めていれば9年間元年を楽しめます!

投資するVRの分野やオススメ企業について

日本ではコンテンツの話題が中心になってしまっているが、欧米ではハード・プラットフォーム・ツール・コンテンツのレイヤーに分かれて話されることが多い。スマートフォンのブームが来た時にいきなりコンテンツが出たかというと、そうではない。
スティーブジョブスはまずOSの再設計・チップ・指紋センサー・カメラなどを再定義し直した。ハードが行きわたって、開発を行うツールが成熟したのち、コンテンツのブームがくる。
そういった点も含めてどの分野に投資すべきなのかという質問に対し、以下のような意見が挙がった。

・Amitt氏
コンテンツとしては360°動画。その他の分野でいうとプラットフォームや開発ツール全般は現時点で熱い。実際に、Googleが「TiltBrush」を買収している。
オススメはアニメーション制作のbaobab(Session2で登場)と、ARのエデュケーションを行っているスコーピアという企業。

・青柳氏
ハードウェアが広まらないとコンテンツができないので、現在はプラットフォームやデバイス、開発ツールにお金が集まっている。コンテンツを作るための投資額が非常に高い割に、残念ながら今年のHMDの出荷台数がそこまで多くないので、過剰投資になってしまうことを恐れている。そこが流行のボトルネックになっていると感じる。
コンテンツに火がつくかどうかは欧米も我々もまだ分かっていない。現状は、殆どの企業が事業計画を立てられない(判断材料になる情報がそもそも無い)ため、投資が受けられず、コンテンツが生まれないといった状況である。
オススメに関しては、VRは没入感とコミュニケーション・遊びの部分が大事だと思っているので、VRChat。また、Foxと提携してコンサートやイベント、スポーツなどをVRで体験できるサービスを提供しようとしているNextVR。
GREEとしてもこの事業に本格的に参入したいのでフジテレビと業務提携した。VRで決裁権を得るのが非常に難しいというSession3の原田氏の意見にはとても同意する。実際に体験してもらわなければ、やろう!と思ってもらえないと思っている。

・山上氏
青柳氏の説明通り、今の時点で消費者向けコンテンツはどうなるかまだ分からないという現状。その点は、BtoBであれば市場や目的、確実にお金になるという点が保証されている分投資を行いやすい。
ドイツやオランダでは産業系コンテンツを出そうという流れが出来ているので、産業大国の日本としては車や機械の分野でリードできるのではと思っている。
また、広告絡みの市場は大きくなると思っているが、まだマーケットがない状態。

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図3. VR分野別業界図(下からインフラ層、ツール/プラットフォーム層/ アプリケーションコンテンツ層)

日本のスタートアップについて

青柳氏は、半年前まで悲観していたと話していた。ただ、今は2018年には絶対に来ると言えるとのこと。
日本としてはBtoCに拘らず、BtoBで勝機があると思っているとし、もしVR事業を始めるのであればアメリカを視野に入れた方が機会が圧倒的に多いと語った。
対して國光氏は、消費者向けコンテンツでも、「サマーレッスン」のようなものは海外では作れないから、日本でしかできないコンテンツであればチャンスがあるのではないかと付け加えた。

1問1答コーナー

以下1問1答での一幕です。各社独自の考え方があるようで、盛り上がっていました。

Q. モバイルVRとハイエンドVRどちらが来るでしょう?

・Amitt氏
ポータブルで使えるのは大きいと思うので、モバイルVRだと思う。

・山上氏
ハイエンドなモバイルが将来的には来ると思っているので、まずはハイエンド。

・青柳氏 普及規模はモバイルVRだが、モバイルVR市場が来るためにはハイエンドVRが成立していないとありえないと思っている。
モバイルはAppleの参入がどのタイミングなのかがキーだと思う。

Q. ハイエンド、ローエンドそれぞれのプラットフォーム向けに作るのが良いか、クロスプラットフォームで作るのが良いか?

・Amitt氏
2017年あたりにはクロスプラットフォームができると思う。

・山上氏
歴史を見ると、最初はゲームセンター向けに作られたものが家庭用に移植されてきた。
今回もハイエンドから作って、それをモバイルに移植する形がいいと思う。

・青柳氏
ある程度のクオリティが担保されていないと、ユーザーはVRから離れ、市場が潰れてしまう。
モバイルVRだからハイクオリティじゃなくていいんだ、チープでいいんだという考えだとまずい。ハイエンド・ローエンドそれぞれで良質なものを作るべきだと思う。

・國光氏
ハイエンドはハイエンド、モバイルはモバイルでしっかり分けた方がいいと思っている。

Q. VRのゲームで企業するとしたらどんなゲームを作る?

・Amitt氏
ポーカーなどのカードゲーム

・青柳氏
VRZone来場者の男女比率では、女性が4割と多めなので、テーブルゲーム系
また、VRZoneのようなVRアミューズメントパーク

Q.どの分野が来る?

・Amitt氏
VRのAdobe

・山上氏
ゲームコンテンツ

・青柳氏
VRソーシャル
2020年の東京オリンピックまでにVRで何か作れたらと思っている。

Q. 普及に必要な課題は?

・Amitt氏
普及にはモバイルが必要。Appleに依存していると思っている。

・山上氏
HMDを購入したくなるようなヒットコンテンツ。

・青柳氏
VR専業企業が少ないこと(シリコンバレーでも半年滞在してればみんな友達になれる規模だという)。
ハードの時代は来たので、コンテンツに投資できる人を増やすこと。

最後に、モデレーターの國光氏から、日本のデベロッパーに対して、
ブームが来てから動くのでは遅い。ブームの1年前からでもちょっと遅い。来るといってる2年前から耐えて耐えて耐えぬいた所が大きな果実を得る。VRはサードウェーブ、僕を信じて波に乗っていきましょう!」と締めくくった。
続けて主催のGREE青柳氏が、Summitに参加者がどれだけ集まるかも分からなかった中、予想を遥かに超える600名の方々が集まってくれて、日本の熱気も欧米に負けていないと感じた。共にVR市場を活性化させていきましょう!とJapan VR Summitを締めくくった。

7.総括

本Summitに参加することで、どのようなデバイス・ツール・アプリケーションがあるかといった情報を得ることができたのは勿論、VRに第一線で関わっている人々から、VRの現状と未来予測について、世界のお金の動き方も含めて知ることができた。

以下、全Sessionを通じての多かった意見まとめ

  • VRのブームまでは2年から3年かかる
  • 世界の大企業が多くの投資を行っている為、VRブームは必ず来るという見方が多い
  • VRが役立つ業界は多岐に渡る
  • デベロッパー/ユーザー共に、日本とアメリカのギャップは激しい。ゆえに日本の市場だけでは狭い
  • VRコンテンツを作る上で最大の課題は酔い対策と継続装着時間
  • VRコンテンツを作る場合、従来に比べ開発コストは増える
  • 消費者向けコンテンツがビジネスとして成立するかは第一線で活躍している人でもまだ分からない
  • 産業向けコンテンツは成立するという見方が圧倒的に多い

コンテンツとしては、日本ではアダルトVRという分野も注目されている。ただ、触覚再現が難しいという点で、今の時点では没入感としては課題を感じる。個人的には、ソーシャル要素とテーブルゲーム要素を織り交ぜ、世界共通ルールも活かせるカジノのコンテンツは面白いのではと思う。
今回のSummit参加を機に、将来的にVRやARがスタンダードになると思えたので、今後もキャッチアップを続けていきます。

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