Japan VR Summit参加レポート【その①】

Date
2016.07.25
Category
技術
Written by
porksaute

Japan VR Summitに参加してきたので、そのレポートを全4回に分けて掲載していきます

Japan VR Summit参加レポートその②はこちら
Japan VR Summit参加レポートその③はこちら
Japan VR Summit参加レポートその④はこちら

開催日時:2016年5月10日 10:00 ~ 19:30
開催会場:品川グランドセントラルタワー3F
主催:グリー株式会社 & 一般社団法人VRコンソーシアム

1.Jappan VR Summitとは

「日本のVR(Virtual Reality)市場の拡大」を目的として、経営者及び開発責任者を対象とするカンファレンス。
第一回では、5つのテーマそれぞれに対し、4~5人の登壇者(国内外でVR事業に第一線級で活躍するプレーヤー)が対談する形式で行われた。

2.はじめに

まず、Summitの内容を報告する上で、必要になる情報について簡単に説明する。

・VRとは
VR(仮想現実、バーチャルリアリティ)とは、人間の感覚器官に働きかけ、現実ではないが実質的に現実のように感じられる環境を人工的に作り出す技術の総称。
現在のVRブームはKickStarterでOculusが話題になり、Facebook社がそのOculusを買収したことで加速した。

・ARとは
AR(拡張現実、 オーグメンテッドリアリティ)とは、現実の環境から視覚や聴覚、触覚などの知覚に与えられる情報を、コンピュータによる処理で追加あるいは削減、変化させる技術の総称。

・HMDについて
VRは、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)と呼ばれるデバイスを通して演出する。
KickStarterでOculusが話題になったのを皮切りに、世界中で様々なHMDが作られている。
中国では既に100以上のHMDが存在しているとか…。
本レポートでは、サミット内で使われていた資料を用い、主だったHMDのみを紹介する。

図1. 主だったHMDの一覧

①ハイエンド

Oculus Rift(Oculus:オキュラス)

  • ブームの火付け役となったOculusのHMD。
  • 2016年下半期に専用コントローラー「Oculus Touch」の発売を発表している
  • なかなか届かないとの声多数
  • Oculus Homeというゲーム配信プラットフォームがある。※後述するSteamからもダウンロードできる
  • 対応デバイス:PC
  • 価格:日本価格83,800円

HTC Vive(HTC)

  • 「ベースステーション」と呼ばれる箱状の機器を部屋の隅の2カ所へ設置することで、高い精度でモーショントラッキングができ、最大5m×4mの範囲内ならVR空間を歩いたり寝そべったりできる
  • 設置・設定が難しいという声が多い
  • 専用コントローラーが付属されている
  • Steamと呼ばれるプラットフォームを展開している
  • 対応デバイス:PC
  • 価格:日本価格 111,999円

PlayStationVR(ソニー)

  • 既に発売されているモーションコントローラ「PSMove」を使うことで、手の動きに合わせてゲーム内のモノに触れたり、掴んだりすることができる
  • 本体のLEDをPS4側のカメラで追う仕組みで、一定範囲内ならゲームの中を歩き回ることができる
  • スクエニ・カプコン・セガなどのコンシューマーゲーム系企業や、ガンホー・GREE・コロプラなどソーシャルゲーム系企業がPSVRのソフトに参入することを発表してい
  • 対応デバイス:PS4
  • 価格日本価格44,980円
②ミドルエンド

Gear VR(Oculus/Samsung)

  • Oculusがサムスンと共同で開発したHMD
  • スマートフォンをHMDにはめこんで使用する為、PCや専用機器、配線コードなどが不要
  • 先述したプラットフォーム「Oculus Home」からアプリをダウンロードする
  • 視力に合わせてピントを調節するダイヤルがついていて、視力0.1未満の人でも裸眼で体験できる
  • 対応デバイス:Galaxy S6 | S6 edge(2016/06/03 現在)
  • 価格日本価格14,900円
③ローエンド

ハコスコ(ハコスコ)

  • ダンボールやプラスチックの素材に、レンズがついたタイプのHMD
  • スマートフォンをHMDにはめこんで使用する
  • 基本的にiPhoneのサイズに基づいて商品が設計されている
  • 一眼(単眼)と二眼(双眼)の二通りある
  • 単眼では立体的な映像を楽しむことはできないが、3D酔いの影響は少ない
  • オリジナルプリントサービスがあるなど、デザインが色々選べる
  • アプリはAppleStoreやGooglePlayからインストールする
  • 対応デバイス:アプリによって様々だが、スペックや容量を求められるので、比較的新しいスマートフ
  • 価格1,000円~3,000円程度

Google CardBoard

  • 殆どハコスコと一緒。ダンボール製
  • 入手は自作か購入
  • ダンボール、レンズ、マグネット着脱テープ、輪ゴムがあれば作ることができ、これらの材料は全て100円ショップで揃えることができる
  • 単眼モデルは無い
  • 価格製品版 1,000円~1,500円

3.Session1 「VRがもたらす大変革」

Moderator
藤井 直敬 氏(理化学研究所/ハコスコ)
Panelists
池田 輝和 氏(Oculus)
Raymond Pao 氏(HTC)
吉田 修平 氏(ソニー)

図2. 登壇者の方々(藤井氏、池田氏、Rayomond氏、吉田氏)

まず、藤井氏より、VRの歴史と現在についての説明があった。
現在のVRは、1965年頃に世界で最初のHMDが開発されたことよりスタートした。1980年代にはNASAで、今とさほど変わらないスタイルのVR用HMDが開発されたという。但し、非常に高額だったとのこと。また、1900年代にはセガや任天堂がエンターテイメント向けのVRを開発し、一度はブームになったものの、その後下火になった。

2012年にOculusがKickstarterで話題になってから、世界的にブームが再燃し、今のブームに繋がっているとのこと。VRは既に、BMWなどの自動車業界、IKEA・不動産などの家具・建築業界など、様々な分野で導入済みだということが紹介されていた。
具体例であげると、BMWはHTCViveのVR技術を用い、新車の開発に取り組んでいる。BMW社によると、従来の構築モデルと比較し、より低コストで迅速な開発が可能になるとのことだった。
また、アウディもVRを使ったショールームを展開していて、IKEAは仮想空間でキッチンを体験できる無料VRアプリ「IKEA VR Experience」をリリース済みとのこと。


池田氏、Rayomond氏、吉田氏の3名から、各HMDの特徴の説明があった。
Oculusの池田氏は、今後の展望について、HMDをメガネレベルにコンパクト化し、誰もが持っている状態を目指したい。既にFacebookがコミュニケーション系のコンテンツを作成中だと語っていた。

HTCViveのRayomond氏は、2025年までにVR市場は800~1100億ドル規模になる(※)と予想した上で、PCの時代があり、スマートフォンの時代があり、次はVRの時代がくると強調していた。また、ゲーム以外の使われ方の一例で、スポーツ観戦や、Googleの開発したVRペインティングソフト「Tilt Brush」を使って、3D空間の中で3Dのモデリングが行えるとしていた。 (※)ゴールドマン・サックスもVR/ARの市場規模は2025年までに800億ドル規模に成長すると予想している。また、順調にいけば1100億ドル規模になり、テレビ市場を超えるとしている。

図3. 自宅でスポーツ観戦 様々な角度から選手を追えるようになるとのこと



図4. Tilt Brush. 登壇者もこれには興奮気味だった

ソニーの池田氏は、VRは「個人で楽しむもの」という概念を覆し、VRを使っている人も使っていない人も楽しめる”セパレートモード”という機能を準備していると話していた。

図5. PSVR VRプレイヤー vs TVプレイヤーをセパレートモードで実現

また、本Sessionで印象に残った点として、以下の2点を挙げる。
1. VR利用に関するレギュレーションについて、両眼視が発達していない小さな子供がVRを使うのは医学的に危険ということで、基本的に13歳以上を推奨としているデバイスが多かった。
2. あらゆる感覚を体感できるようにし、より臨場感を増していく工夫がある中で、「触覚の体感」がVRの技術の中で最も難しいという共通見解だった。
「2」について、OculusやHTCViveはそういった触覚の必要性・実現可能性を研究しているという。

最後に、「VRで人や社会はどのように変わると思うか?」という問いに対し、以下のような意見が挙がった。
・(池田氏)HMDがコンパクトになり、ひとり一台所有している状態になれば、VR空間でコミュニケーションをとるのが当たり前になる。
・(吉田氏)フォトグラメトリ(※)という技術で世界中の観光スポットにいつでも行ける世界になる
・(Raymond氏)リアルな世界では物理的な制限があるが、VRはそれを壊す。時間的、空間的制限を超えることができる。
※3次元の物体を複数の観測点から撮影して得た2次元画像から、視差情報を解析して寸法・形状を求める写真測量のこと。


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